家庭用ミシン針の種類
家庭用ミシン針には普通、「HA×1 #11」というような表記がされています。 「HA」は家庭用ミシン針であることを示しています。 「H」は「for Home use」の略で、「A」は開発順位を表しています。 「×1」はその中でも一番最初に実用化されたものということなので、 「HA×1」は家庭用ミシン針のAタイプ、実用化第一号という意味になります。 現在使われている家庭用ミシン針はほとんどがこの「HA×1」なので、 家庭用ミシン針と言えば「HA×1」と覚えておけば良いでしょう。 後半の「#11」は針の番手、針の太さを示しています。 針の太さは#9~#16まであり、針の番手が小さいほど薄地向きで、大きいほど 厚地向きです。 針の番手と適した生地は、#9なら薄手絹、サテン、ジョーゼット、デジン、 ボイル、オーガンジーなどの薄手の生地になります。 #11は普通絹一般、ウール一般、薄手キャラコ、ボブリンなどになります。 #14はキャラコ等一般木綿、毛織物といった厚手の生地、#16ならさらに厚手の 厚物キャラコ、厚物毛織物、防水布の縫い物に使用されます。 ちなみに糸の太さを泡ラス数字は針とは逆で、数字が大きければ細く、 小さければ太くなります。
針の交換の仕方
針の交換時には必ず電源を切り、プーリーを手前に回して針を上げておきます。 左手で針を持ち、右手でねじを緩めて針を下に引いて外しますが、手でねじを 回せないようなら専用ドライバーを使用します。 家庭用ミシン針は針の平らな部分を奥側に向け、しっかり差し込んでから ねじを締めます。 このときに、針の向きには注意しましょう。 針の交換の目安としては、ミシンの柄の平らな面を板などの平らな物に当て、 針先までの隙間が均一に見えるようならまだまだ充分使えます。 針先が曲がっていたり潰れていたら糸切れや目飛びの原因となるので、 早めに針の交換をしましょう。 使用条件の違いにもよりますが、ボビンを5~6個使った頃には針も消耗 してきますのでそろそろ交換の目安となります。 まだ大丈夫か針をチェックしてみて下さい。 針は消耗品ですので、常に綺麗な縫い目を出すためにはなるべく早い針の 交換をお勧めします。
工業用ミシン針
持ち運び可能な職業用ミシンが主流になった頃から、家庭用ミシン針が使用 できる職業用ミシンが出てきました。 現在では工業用ミシン針を使用するミシンと、家庭用ミシン針を使用する ミシンが市場に混在する状況になりました。 職業用ミシンに使用される工業用ミシン針(DB×1)と家庭用ミシン針 (HA×1)は、針軸の太さが違うので本来互換性がありません。 針を取り付ける針棒を交換して釜を再調整しなければ付け替えることができません。 工業用ミシン針はバリエーションも豊富で強度もありますが、だからといって 工業用ミシン針が家庭用ミシン針よりも優れているかと言えばそうでもなく、 わざわざ家庭用ミシン針を作る必要もありません。 工業用ミシン針の長所には布素材やトラブルに対応したバリエーションが 豊富にあること、クロームメッキと二段伸線で熱に強く針強度があること などがありますが、針軸が丸いので方向を間違って取り付ける可能性がある、 基本のDB×1以外は販売しているお店が限られる、状況に合わせた針を 使用しなければ本来の性能が発揮されない、などの短所があります。 では、家庭用ミシン針を使用する場合はどうでしょうか。 家庭用ミシン針の長所には、針軸に平取りをしてあるので針向きを 間違うことがほとんどない、手持ちの家庭用ミシン針をそのまま流用できる、 どこでも販売されているので手に入れやすいといったことがあります。 短所は針のバリエーションが少ない、針強度で工業用に劣ることです。 実際にどちらが使いやすいかは使用者次第ともいえますので、 自分が使いやすいほうを選べばよいでしょう。